2017年7月17日

熊と不審な機器
(習作)

2017年6月19日

顔と地図

Facial maps


中国の民俗に関する古い資料を見ていると、びっちり区分けした人の顔の図が見当たる。「面相図」「面痣図」等々と呼ばれているもので、人相を占うための顔の地図だ。


最初に見つけたのがこのような図だった。「九州八卦図」といい、顔を一国に見立て、それを9つの地方に分割して、それぞれに方位と地名をつけている(なお九州というのは中国の古称だ)。これが地図でなくんば何であるか?


さらに調べてゆくとこのような図を見つけた。凹凸にあわせて顔を分割し、ひとつひとつ場所に名前を付している。こんどは一村の絵図といった趣、「福堂」や「天倉」、「山根」など、村の字名を見るかのようだ。


この図にはいくつかバリエーションがあり、より細かく区切った図も見つけた。前の図が大字ならこれは小字の図。耳など、前図では1大字だったところが4つの小字に分けられている。
右耳の穴は「大字木星鬼穴」だ。

よく見ると「大海」「辺地」「海角」「懸壁」など、土地の様相は前図より広大になっている。かと思えば「盗賊」もいたりして怖い。

2017年5月30日

倉敷の土蔵


Dozo (earthen storehouses) in Kurashiki, Okayama

倉敷を訪れた。

倉敷には誰もが知る美観地区というのがある。倉敷川べり、大原美術館のあるあたりだ。古い造りの町家・土蔵群が残り、それが飲食店や雑貨屋の店舗として利用されている。古い建物がまとまって残っているのは、かつて港町だったからだ。倉敷川をつたって高梁川、瀬戸内海へと出ることができた。

ここの土蔵は非常に大きな特徴を持っているのだ。


上図は美観地区外の商家の建物だ。一番手前が土蔵、ほかは土塀と塗屋造の主屋だが、道路に面してこのような意匠を見せている。いずれも腰までを焼杉板貼りとし、腰から上になまこ壁を設けている。

焼杉板はごく美しく焼かれている。他にたとえようのない黒光りだ。なまこ壁を見ると、土蔵は芋目地、土塀と主屋は四半目地となっている。いずれも腰まわりに加えて、四隅を登るように瓦を貼っている。また主屋、白壁の中ほどに一段水切りを設けており、その上にも一巻き貼ってある。これを「腹巻」という倉敷市HPより)。このなまこ壁の設け方が倉敷の土蔵の最大の特徴だ。



土蔵の窓の部分はこうなっている。窓には枠や土扉を設けず、庇も簡単なかたちだが、そのかわりにこのように瓦を貼っている。庇に跳ね返った雨を防ぐためなのだろう、愛嬌のある造作だ。

今回は倉敷の中心部から玉島、児島まで足を伸ばしたが、いずれもこの様式の土蔵が建っていた。またその足で瀬戸内海対岸、高松を訪れたところ土蔵の様式は大きく異なっていた。


岡山県内では高梁のあたり、津山のあたりにも、倉敷と近い様式の土蔵が分布しているらしい(未見)。さらに瀬戸内海側に目を転じると、塩飽諸島・本島に残るという「夫婦蔵」も明らかに同じ様式を持っている。また児島から高松へ向かう道中、坂出あたりまでには倉敷と同じ様式の土蔵があるのを見た。

なお塩飽諸島には船大工に端を発する大工集団がいるという。彼らが造り出した様式が備讃瀬戸を席巻し、徐々に内陸に浸透して行ったものか。

倉敷や伊豆下田を見るにつけ思う。なまこ壁の土蔵は港町のものだ。水運に乗って伝播する。


参考文献
上野時生編(1983)『四国の民家・建築家の青春賦』日本建築学会四国支部民家研究調査委員会

2017年4月30日

2017年3月26日

牧神とフィルム

Pan on the medal

こんなメダルを手に入れた。

表面には「賞 MINORI FILM」、裏面には「株式会社六和」とある。
かつて「みのりフィルム」という写真用フィルムの銘柄があり、「六和」というのがそのメーカーだったようだ。おおむねメーカー主催の写真コンテストか、小売店表彰のメダルといったところだろう。

質感や彫りの浅さは昭和30〜40年代の量産品メダルという印象だが、目を惹くのは表面に描かれた図像だ。笛を吹く半人半獣の像、これはギリシア神話のパンの姿だ。パンは牧神とも呼ばれ、豊穣さを象徴し、笛を吹くことを好み、なおかつ絶倫ということ。


なぜフィルム会社のメダルにパンが描かれているのか?
その答えはおそらく、みのりフィルムのラインナップに「みのりパンS」「みのりパンSS」というのがあったからだ。

しかしそのパンは「パンクロマティック」のパンだ。これは「可視光線すべてに感光する」という意味で、世界中の白黒写真フィルムに何々パンと名前がついている。つまりパンアメリカンとか汎ヨーロッパとかいうときのパンであり牧神とは関係がないのだ。


と思いきや…wikipediaのパンの解説にこうも書いてあった(以下一部引用)。

「パーンがテューポーンに襲われた際に上半身が山羊、下半身が魚の姿になって逃げたエピソードは有名であるが、この姿は低きは海底から高きは山の頂上まで(山羊は高山動物であるため)世界のあらゆるところに到達できるとされ、「全て」を意味する接頭語 Pan(汎)の語源となったともいわれている。」

という民間語源説があるのだと。

以上のような経緯で牧神とフィルムがつながっている。



参考文献
https://ja.wikipedia.org/wiki/ボルタフィルム
wikipedia日本語版「ボルタフィルム」2017年3月26日閲覧

https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_photographic_films
wikipedia英語版「List of photographic films」2017年3月26日閲覧

https://ja.wikipedia.org/wiki/パーン_(ギリシア神話)
wikipedia日本語版「パーン(ギリシア神話)」2017年3月26日閲覧

2017年2月24日

先輩の技

Bear machine




年季ノ違ウバイ

2017年2月6日

黒眼圏

Periorbital dark circles


中国のショッピングサイトをたまに見る。
最新式のヘルスケア商品やサプリの効能書きとキャッチコピーが、
格調高く四字×四句の形式で書かれているのが面白い。

あるアイマスクの効能書きにこう書いてあった。

視物模糊 眼精疲労 干渋流泪 黒眼圏

「黒眼圏」?
何だと思えば目のクマのことらしい。
なお英語でも「Periorbital dark circles眼窩周囲の暗い円
というのだと。

2017年1月16日

レスポンス『ミライのクルマ』表題イラストレーション


ニュースサイト「レスポンス」の特別編集企画『ミライのクルマ』トップページ表題イラストレーションを描かせて頂きました。

未来の自動車に関する極秘最先端知識が!


部分拡大

2017年1月1日

あけましておめでとうございます


Happy New Year

信州諏訪

昨春に訪ねた長野県諏訪地方の土蔵。諏訪には驚くほど土蔵が多い。妻面、丸く出張った部分は当地で「丑鼻」うしばなという。これには家紋や家名、水や龍などの草書一字(火伏せだ)、ほか縁起の良い図案を鏝絵で描いたりする。腰にはなまこ壁を造るのも多い。絢爛さを競うかのようだ。それもそのはず、ここにはかつて伊豆の長八の孫弟子にあたる方がいたのである。小川天香氏といい、茅野駅前に記念館が建っている。

しかしここでは絢爛なものでなく、荒壁のままの古そうな土蔵を選んで描いた。窓回りなどは諏訪一帯に共通する造形だが、問題は丑鼻、「*」のようなマークがでかでかと刻まれているのが謎だ。離れた場所でも同じ例を見たので特定の家紋家印というわけではないと思う。単に火伏せの「水」字を簡略化したものか、それともいつか鏝絵を描く時のための見当か、あるいは壁を荒壁のままにする場合のジンクスだったりするのか?


という昨年最大の土蔵ミステリーを年賀状に託した。

2016年12月25日


Happy Winter Holidays


2016年12月21日

四角い男


Cubes





2016年12月11日

佐世保の土蔵


Dozo (earthen storehouses) in Sasebo, Nagasaki

11月に佐世保を訪れた。

佐世保の市街地は海に沿って平たく延びている。これは狭い浦辺を埋め立てたものだ。街の後ろには常に崖がはだかり、また街の中にはかつての島が取り残されている。その間を縫ってアーケードが設けられているのだが、これは町7つ分の長さを誇るものである。街の後ろには起伏にそって無数の住宅が建つ。岩を削り石垣を積みコンクリで固める。立体的な路地と階段がはりめぐっている。上り詰めると港が手に取るように見える。

港はかつての軍港、いまは自衛隊と米軍の港だが、離島とを結ぶ旅客船も多く発着する。私はその日漫画家クリハラタカシ氏の取材に同行し池島の炭鉱を訪ねたのち、水路にて佐世保へ入ったのだ(クリハラ氏のレポートはデイリーポータルZに掲載されている)


魅力満点の佐世保であったが土蔵はちっとも見つからなかった。土蔵が盛んでない土地柄なのかもしれない。そもそも九州一帯に、漆喰で塗り籠めた町家はよくあるのだが、主屋とは別に建てられた土蔵というのをあまり見受けない感じもする。

私は土蔵を求めて街道を歩いた。佐世保より東に3駅の早岐はいきというところでやっと会心の土蔵を発見した(上図)。早岐は佐世保市内ではあるが瀬戸沿いの静かな港町で、目の前には針尾はりお島が迫っている。鉤の手のある目抜き通りに古い町家が並び、その裏手の運河のような川に面してこれが建っていた。

このたたずまいをご覧頂きたい。鉢巻は薄く、窓には鉄扉がはまり、また窓の庇に瓦が差し掛けてあるあたりは熊本や鳥栖と共通する造り方だ。鉄扉の蝶番のかたちに窓枠が切り欠かれているのがよい。装飾の少ないぶん量感がまさり、壁は風雨により下から灰味がかる。九州の土蔵によく見られる風合いだ。
好ましく堅牢な印象。瓦は新しく軽いが、昔はもっと重厚なのが葺かれていたに違いない。


《写真コーナー》

九十九島くじゅうくしまの階段

この立体感

夜の自衛艦

佐世保の古いマンホールのふた

1枚だけ見つけた右書きの防火栓(消火栓)のふた

2016年12月4日

サメ似の男


Portrait


2016年11月30日

熊と慣用句


Idiom bears


2016年11月21日

『月はぼくらの宇宙港』表紙イラストレーションおよび挿絵


新刊『月はぼくらの宇宙港』(佐伯和人 著、新日本出版社)
表紙イラストレーション、および挿絵数点を制作致しました。





最新の月科学を反映した
われわれの宇宙進出の可能性を
 やさしく解説する本です。